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天ママStyle vol.61 おばちゃん

※デンタルサポート・コムネット TOGETHERに連載中の
『天ママStyle』の内容をアップさせて頂いております。
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1歳半の娘を実家に置いて、30歳で北海道の歯学部へ入学し、
長い冬を迎えて、降りしきる雪を窓から眺める頃、
あふれそうになる涙をこらえながら必ず聴いていた曲が、
ディオンヌ・ワーウィックの歌声でした。
彼女の声に、どれだけ元気づけられたことか……
昨日、ブルーノートで72歳になった彼女の歌を生で聴きながら、
私の頭の中には、あの時の雪景色と、あの時の涙が浮かんでいました。
先日、私の第二の母と慕っていたおばさんが亡くなりました。
このおばさんは私の両親の友人で、
家族ぐるみで親戚以上の付き合いをしていました。
おばは3人の男の子がおり、そのうちの誰かと私を結婚させたかったようです。
縁がなく、他の男と結婚し、そして離婚した私の事を、
それでも本当によく面倒をみてくれました。
36歳で歯学部を卒業し、東京に出て無我夢中で義歯の勉強をし、
勤務医、そして開業と働きまくりながら、
実家に預けていた娘を引き取り、
2つ目の診療所を手に入れたのがちょうど40歳の時でした
(この間の苦労話は、いずれ何かで書きましょう)
あまりにも突っ走り過ぎて、すべての歯車が狂い、
2つ目の診療所はガタガタに……
娘との生活はチグハグに……
朝はお弁当作りのため5時半起き、そして相変わらず夜は9時まで診療……
更にわずかの預金も底が見えてきて……
こんな八方塞がりの状況の中、思わず私はおばに電話をしていました。
「おばちゃん、私辛いんヨ。
貯めていたお金も全部無くなりそうやし、娘との生活もうまくいかなし、
もうどうしたらいいんか、わからん。どうしよう?」
するとおばは今まで聞いたこともない大きな声で、こう言ってくれました。
「久ちゃん、いくつになったんや!
あんたも年取ったなぁ~。とうとうグチを言うんかい!」
「エッ、どういうこと?」
「あんたは、あの大変な離婚の時でも、平気な顔をして頑張っていたのに…
お金は全部無くなってから考えなさい!
娘の事は大丈夫、ちゃんとなるって!」
「私、今、グチ言うた?」
「グチや! グチは言うたらあかん。言うたら負けや」
「分かった。おばちゃん、お金が底をつくまで、とにかく頑張る。グチは言わん!」

誰に勝っても、誰に負けても構わないのですが、
ただ自分自身に負けないためにグチを封印したら、
段々周りが見えてきて、しばらくしたら仕事も娘の事もうまくいっていました。
今思い返すと、私の人生の大変な時には、必ずおばが居てくれました。
実母よりも、おばに頼る私の事をおばは愛してくれていたのだと思います。
今頃、涙が出るなんて……
死んでしまえば何もかも終わりですが、
おばに愛されていたと思うと、
心があたたかくなり、悲しみが薄らぐ気がします。
おばちゃん、私もあなたの事をとても愛していました。
大好きでした。
もう逢えないと思うと寂しい……
おばちゃんの本当の娘でいたあの頃、
あのバカ笑いしていた昔が……
……なつかしい……
私も幸せに死ぬために、残す人を幸せな心にするために、
人を愛し、愛されて生きておこうと思う。
話は変わります。
ディオンヌ・ワーウィックさん、
今度は違う国で出逢って、友達になろうね。
そして、一緒に歌おう!!

カテゴリー:天Mama Style  投稿日:2013年8月9日